公益法人で働く管理職対象に、EQコーチングを1年に1度、3年にわたって実施しています。EQは置かれた状況やその時々の心の在り方で変化します。そこで定点観測的に個々人の心の状態、そしてそれが起因となって生じている思考や行動を客観的に振り返り、次なる行動へ結び付けていただくことを目的としています。

EQコーチングとは
EQコーチングではまずEQ検査を受けていただき、その結果をもとに受検者とコーチで対話しながら現在の心の状態を掘り下げ、そこから今後のありたい姿と行動を描いていきます。

事例

左の図は対象者のお一人、Aさんの3回の受検結果をグラフに表したものです。一番薄い青で示された1回目の結果を見ると、Aさんはご自身の感情や行動についてしっかり把握されている一方、共感力が同等には発揮されていないことがわかりました(矢印①)。この時Aさんは管理職への昇進前で、優秀なプレイヤーとして活躍をされ自信も感じていた時期でした。反面、周囲が自分のやろうとしていることを理解してくれないというもどかしさも感じていました。コーチングを通じて、この共感力の値は周囲の気持ちに十分に耳を傾けられていなかったことが原因ではないかと気づかれたAさん、周囲の意見の傾聴を心掛けることにしました。

そして1年後、2回目の受検。大きく「共感力の活用」が伸びました。また昇進によって「内発的なモチベーション」、「ノーブルゴールの追求(ありたい姿を追求する力)」が大きく伸び、やりがいをもって携わっている仕事が自分自身のベクトルとあっていることを再認識されました(矢印②)。

さらに一年後の3回目の受検時、Aさんは組織を超えたプロジェクトに多数携わり、多忙を極めていました。「結果を見すえた思考(結果をしっかり見極めたうえで行動する力)」が下がりましたが(矢印③)、仕事量が増えて目の前の業務をこなすのに精いっぱいなのかもしれない、と振り返られました。Aさんがこの3回目で得た大きな気づきは、ご自身が理的な傾向があるということでした。これは「感情リテラシー(感情を理解する力)」に対して「共感力の活用」が低めの方に見られる傾向ですが、Aさんご自身もよく理論先行で「・・・すべき」と主張してしまっていることに気づかれたようです。そこに勝手な自分自身の決めつけが入ってしまっていないか、周囲の感情面も考慮できているか、今後意識していきたいとお考えです。

EQコーチングの意味
コーチングではEQ検査結果の表面を見るにとどまらず、分析と対話を通じて受検者の方の心を掘り下げていくので、より深く自分を知ることができます。より深く自分を知ることは、より強い確信をもって次のステップを踏み出せることになります。特に予測不可能な未来に向かって、日々行動や判断を迫られる経営者や管理職の方には、定期的なコーチングは非常に有効です。