部下との対話、つい話しすぎてしまっていませんか

近年注目される1on1など、部下との対話の機会を意識的に設けられている企業も増えているかもしれません。

1on1とは年に2回程度行われる評価面談とは別に、週1、または月1など、もっと短いサイクルで行う部下との対話のことで、これを通して部下の抱える悩みやキャリアビジョンなどを把握し、成長に向けて支援していくことを目的としています。1on1という名でなくても、部下と1対1で仕事について話したり、相談に乗る機会というのは何かしらあるのではないでしょうか。

この際にありがちな失敗は上司がしゃべりすぎてしまうことです。人は相談されるとついアドバイスをしたくなって、自分の体験談や意見を言いたくなるものです。結果、部下は上司の長話を聞かされウンザリ、もうあまり相談はよそう、などと考えてしまうかもしれません。

先日都内で管理者向けにリーダー研修を実施しました。
受講者の方々に予め「良き上司」像をお聞きしたところ、“自分を導いてくれる”“任せてくれる”“サポートしてくれる“といった意見が共通認識として出されていました。つまり、方向性は示しながらもやり方は押し付けず、部下の主体性を重んじてくれる上司像が求められていると言えそうでした。

そのようなこともあって研修では傾聴ワークを行い、ジャッジすることなくまずは相手を聴き入れる練習をしました。 表面的に「聞く」のではなく、相手の内側にある深い想いに辿り着こうとして「聴く」姿勢は、部下に共感し、寄り添っていく上でとても重要になってくると考えられます。

傾聴ワークをやって振り返って頂くと、受講者の方々がイメージしている「良き上司」像とは裏腹に、“相手の話を途中で遮ってしまった”“黙って聴き入れる時間が苦痛だった”“相手の言葉に隠されている感情面まで思いが及ばなかった”等の感想が出ていました。
普段指示を出したり、教えたりする機会はあっても、なかなか「じっくり耳を傾ける」ことには慣れない管理者の方も多いのかもしれません。

私たちは人から何か言われたときより、自分で気づいた時の方が行動できるものです。また、誰かに話を聴いてもらうだけで、自分の考えや道筋が見えてきたりすることも多いものです。
部下が次の行動を起こしていけるようにするには、まずは相手(部下)を感じて聴き入れるという姿勢から始めるのがいいのかもしれません。

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