在宅ワークと所属感

弊社でも今月頭に在宅ワークを試験的に1週間実施しました。
スタッフによっては完全に在宅とまではいきませんでしたが、自宅でできる業務はすべて自宅で行うことになりました。急なウィルスの広がりを受け、在宅ワークの仕組みやツールも完全に整っていない中での判断だったこともあり、ウェブ会議システムでつなぐなどの対応は今回はなしです。

そうして1週間ずっと在宅で作業していると、すっかり会社やほかのメンバーが遠いものに感じられてきます。
翌週にメンバーがそろって振り返りを行ったときには、「互いの顔を見るとほっとする」というコメントが挙がりました。些細なことかもしれませんが、「顔を見る」「気配を感じる」こと、「たわいのない会話をすること」というのは職場の潤滑油のようなところがあり、こうしたことの積み重ねで互いの信頼感や所属感が培われていくのかもしれません。

ハーバードビジネスレビュー(2019年11月号)に掲載された記事によると、従業員エンゲージメントを高めるのに最も大切な要素は「自分がチームの一員として働いている」という実感があるかどうか、ということだそうです。チーム、というのは組織図上に出てくるチームとは限らず、むしろプロジェクトを共に推進する横断的なチームを指します。そして、この「自分がチームの一員」という感覚、つまり所属感があれば、エンゲージメントの高さは在宅勤務者でも会社出勤者でも関係ないことも同じ調査で見えているそうです。

以前に研修をさせていた企業様は、従業員が客先常駐で離職率が高いことにお悩みでした。やはり普段いかない会社(自社)、顔を合わせる機会の少ないチームには所属感がわきにくく、近くにいる客先の職場に「チーム」を感じるのかもしれません。
研修後のアンケートでは普段会わない自社のメンバーと共に場を共有できたことに対するポジティブなコメントが多くみられましたが、このように「自社」を感じることは所属感の醸成という意味で大きな役割を果たしたのかもしれません。

これから在宅ワークが広く浸透していくと推測されますが、
場所は離れていても定期的にオンライン、オフラインで顔を合わせる機会を設けるなど、「共に」働くという感覚が保たれるような工夫は欠かせないものかもしれません。

次の記事

不確実性との向き合い方