EQを知ろう④ ― 自己パターンの認識

呑み込みの悪い部下に対してつい声を荒げてしまう
仕事が立て込むとカリカリする
相手がガツガツしていると一歩引いてしまう―――

皆さんにも、こういうことがあると自分は大抵こういう風に反応してしまう、ということがあるのではないでしょうか。こうした自分の行動・反応パターンを認識する力がEQ二番目のコンピテンシー、「自己パターンの認識」です。

脳は、何かあるごとに毎回どう反応するかを決めるとなると多大なエネルギーが必要になり疲れきってしまうため、パターン化することを好みます。私たちは大人になるまでの間にこうした様々なパターンを身に付けていて、それらは私たちが意識しないところで自動的に発動します。省エネ自動運転をしているようなイメージでしょうか。

当たり前の話ですが、無意識に反応をしている限り、それを変えることはできません。ですから、私たちが行動を変容していく上では、まずこの自己パターンを認識することが欠かせないのです。

自己パターンの認識を高めるために

自己パターンの認識を高めるには、よくある一日を取り上げて、その日起こったこと、その時感じたり思ったりしたこと、結果としてとった行動、を振り返るのが良いでしょう。そうしてこういうことがあると、こんな風に感じ、考え、こうしてしまう、という自身のパターンを見つけましょう。そうしていくと、表面的な行動パターンだけでなく、こういうことがあるとこういう風にとらえる、という自分の思考のクセも見えてくるものです。

パターンが見えたら、次に同じようなことがあったらどういう風に自分が行動したいかも考えてみましょう。例えば、なかなか部下が自分の指示を呑み込んでくれなかったとしたら、もっと背景説明を詳しくしてみようとか、わからないところを一緒にじっくり考えるようにしようなどと考えられるかもしれません。
これまで自動的に行ってきた行動を変えるわけですから、最初はうまくはいかないことが多いかもしれません。結局またイライラして「なんでわからないの?」と言ってしまうかもしれません。
でも「意識的に」行動を変える行為を繰り返すことで、それが新たなパターンとなり、やがて自動的にそれができるようになっていくのです。

あまり自分を責めず、時間をかけてじっくり取り組んでみましょう。