EQを知ろう➄ ― 結果を見すえた思考

感情リテラシー自己パターンの認識ではそれぞれ自分自身の感情や行動を振り返り、自己理解を深めていく「知る」領域でしたが、今回からは自分を理解した上でどのような行動を「選ぶ」のか、という領域に入っていきます。


次のようなケースを考えてみましょう。

部下である若手社員が関係部門と交渉しようとしたところ、手厳しく拒絶されてきました。大事な交渉で、あなたは正直がっかりする気持ちと、焦りがあります。そんなとき、あなたならどうしますか。

「結果を見すえた思考」は、何か行動するにあたって選択肢を挙げ、それぞれの選択肢のメリット、デメリットを考えた上で判断できる力のことです。

今回の例でいくと、どのような選択肢があるでしょうか。

まず、あなたが上の立場の人間として、関係部門と話をすることが一つの選択肢としてあるでしょう。この場合のメリットは、交渉時間が短縮できることです。時間がない時にはやむを得ないかもしれません。一方で、若手社員は「自分はうまくできなかった」という印象を持ち続け、交渉に苦手意識を持ってしまうかもしれません。
別の選択肢としては、交渉のポイントをよく確認した上で若手社員自らに再度交渉させることがあるでしょう。自分も同席してもいいかもしれません。この場合、デメリットとしては手間がかかりますが、メリットとしては部下に成功体験やあなたへの信頼を生み出せるかもしれません。

状況次第ではこのほかの選択肢も様々あると思います。
大事なのはそれらのどれが良い・悪い、正解・不正解、ではありません。”意識的に”考え、選ぶことが大切なのです。失望と焦りの気持ちから”衝動的に”、自ら関係部門に乗り込んでいったとしたら、それは望ましい行動とは言えないでしょう。一方、「結果を見すえた思考」で選ばれた行動は、結果的にその行動の結果がうまくいかなかったとしても、次の選択に活かす経験になるでしょう。

「結果を見すえた思考」を伸ばすために

このコンピテンシーを伸ばすために重要なのは「間」を置くことです。何か強い感情を感じたとしても、そこですぐに反応せず、少し待ってみましょう。脳科学的には強い感情が収まるまでに6秒ほどかかると言われています。この6秒待てれば、行動の選択肢を並べたり、それぞれの行動の結果を考える余裕が生まれてくるというわけです。

私たちは日々たくさんの決断をしていると思います。
私たちはそんな決断に、そもそもどれぐらい意識的でしょうか。
その一つ一つについて、それがどういう結果を及ぼすのか、意識する機会を増やしてみるのはいかがでしょうか。


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